特集 赤血球造血のメカニズムとその異常 -最近の進歩-
5.グロビン発現とその異常
山城安啓
1
Yasuhiro Yamashiro
1
1山口大学大学院医学系研究科 保健学専攻 准教授
pp.1325-1331
発行日 2018年8月30日
Published Date 2018/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/52018091325
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ヘモグロビンを構成しているグロビンタンパクは,胚芽期から時期特異的な発現調整がされており,発生に応じたヘモグロビンの産生が行われている。グロビン発現に異常が生じ,グロビン産生量が低下した疾患がサラセミアである。成人ではHbAが約96%を占めているため,問題となるのはαグロビンの産生量の低下したαサラセミアとβグロビン産生量が低下したβサラセミアである。その産生低下の主な原因は,αサラセミアでは広範囲な遺伝子欠失,βサラセミアでは数塩基の挿入/欠失または点突然変異である。グロビン遺伝子に異常がなく発現調節タンパク等の異常により生じるサラセミアも存在する。非鉄欠乏性の小球性貧血に遭遇した際には,サラセミアを疑ってみる必要がある。