増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液検査
血球検査
異常ヘモグロビン
原野 昭雄
1
,
原野 恵子
1
1川崎医科大学生化学2
pp.140-141
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906279
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
ヘモグロビン(Hb)は,血液中の赤血球内蛋白の95%以上を占める赤色の複合蛋白質で,肺で結合した酸素を末梢組織へ運び,末梢組織の代謝によって生じた二酸化炭素を体外へ排出する生理的に重要な役目を担っている.異常Hb症は,それを構成する2種(αとβ鎖)のグロビン蛋白構造異常による異常Hb症と,グロビン構造は正常であるが,合成不均衡によるサラセミア症がある.いずれも遺伝性の疾患である.前者は構造遺伝子の塩基の置換などによるアミノ酸配列異常のグロビンで構成され,分子の不安定性や機能(酸素親和性)異常をきたし,Heinz小体形成や感染症(例えばパルボウイルスB19)により発作的な溶血性貧血を起こす不安定異常Hb,定期的瀉血を必要とする多血症となる異常Hbや紫藍症状を現わす異常Hbなど,多種多様な病態を示すものがある.後者では特徴的な小球性低色素性貧血を呈する.血球形態異常(標的,奇形など)を示し,肝脾腫が認められ定期的な輸血を必要とする重篤な症例もみられる.
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