特集 免疫チェックポイントとがん免疫治療
5.悪性黒色腫のPD-1阻害がん免疫治療と治療効果予測バイオマーカー
大塚篤司
1
Atsushi Otsuka
1
1京都大学医学部 外胚葉性疾患創薬医学講座(皮膚科兼任) 准教授
pp.1547-1554
発行日 2017年10月30日
Published Date 2017/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201711059
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
進行期悪性黒色腫(以下,メラノーマ)に対する分子標的薬が次々と登場し,メラノーマ治療は大きな転換期を迎えている。特に免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれるイピリムマブ(抗CTLA-4抗体)やニボルマブ(抗PD-1抗体)は,その効果がメラノーマ治療で最初に報告されたことから,メラノーマは免疫療法のフロントラインとして注目を集めている。しかしながら,イピリムマブとニボルマブはそれぞれ,10%,20~40%程度の奏効率であり,また,薬剤費も高額であることから,反応例と不応例を識別するバイオマーカーの同定が求められている。さらに,免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)と呼ばれる重篤な副作用もみられ,解決すべき課題は多い。我々はニボルマブ奏効群で,治療開始後早期に増加するT細胞サブセットとしてTh9細胞を発見し報告した。今後もメラノーマ治療を中心に,免疫チェックポイント阻害剤の研究は進んでいくものと思われる。