特集 免疫チェックポイントとがん免疫治療
6.代謝免疫から見るがん免疫治療の新展開
榮川伸吾
1
,
鵜殿平一郎
2
Shingo Eikawa
1
,
Heiichiro Udono
2
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 病態制御科学専攻 腫瘍制御学講座 免疫学 助教
2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 病態制御科学専攻 腫瘍制御学講座 免疫学 教授
pp.1555-1564
発行日 2017年10月30日
Published Date 2017/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201711067
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近年,代謝免疫は非常に高い関心を集めており,免疫細胞の代謝変化はがんの増悪化に関与していることが報告されている。細胞内代謝経路は様々であるが,特にクエン酸回路と解糖系が各免疫細胞の分化・機能に重要であることが明らかにされている。また,がん細胞自身の代謝経路により,がん微小環境には低酸素,低栄養といった末梢組織の環境とは明確に異なる特殊な環境が形成される。がん組織に集積する免疫細胞,特にエフェクターT細胞はこのような低栄養環境下では本来の機能を発揮することができない。現在では,代謝調節薬を免疫療法に利用する細胞代謝制御を基にしたがん免疫療法が検討されている。