Japanese
English
特集 多臓器不全と急性腎障害(AKI)
【総論】
バイオマーカーによる多臓器不全の予測
Prediction of multiple organ failure by biomarkers
山下 徹志
1,2
,
野入 英世
2
YAMASHITA Tetsushi
1,2
,
NOIRI Eisei
2
1サルスクリニック日本橋
2国立国際医療研究センター 中央バイオバンク
キーワード:
SSCG
,
乳酸値
,
CRT
,
サブフェノタイプ
,
高精度医療
Keyword:
SSCG
,
乳酸値
,
CRT
,
サブフェノタイプ
,
高精度医療
pp.24-29
発行日 2022年7月25日
Published Date 2022/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000225
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Ⅰ バイオマーカーによる急性腎障害の予測
旧来の急性腎不全(acute renal failure:ARF)を包含し,かつより早期の腎臓における組織・細胞障害をも包含する概念である急性腎障害(acute kidney injury:AKI)が2004年に提唱され,20年が経過したが,現在に至るまでAKIに対し明確な有効性を示す薬物療法は発見されていない1)。AKIはクレアチニンの上昇もしくは尿量の減少により定義されているが,血清クレアチニンは腎機能低下が発生した後に産生と排泄のバランスが破綻した結果として上昇する物質であるため,必然的に腎臓への傷害発生のタイミングと血清クレアチニンによるAKI診断にはタイムラグが生じる。このような診断の遅れが,薬物療法が臨床介入研究にて有効性を示せない原因の1つと考えられており,AKIの早期診断・早期介入を目的としてクレアチニン以外のバイオマーカーについての研究が進められている。現在わが国の保険診療では,尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin:NGAL),尿中L型脂肪鎖結合蛋白(L-type fatty acid-binding protein:L-FABP),尿中N-アセチル-β-d-グルコサミニダーゼ(N-acetyl-β-D-glucosaminidase:NAG),血清シスタチンC,尿中α1-ミクログロブリン,尿中β2-ミクログロブリンが測定可能である。
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