連載 これからの免疫療法の話をしよう[8]
がん免疫療法のバイオマーカー
珠玖 洋
1
,
北野 滋久
2
1三重大学大学院医学系研究科病態解明医学講座遺伝子・免疫細胞治療学
2国立がん研究センター中央病院先端医療科
pp.326-331
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200302
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はじめに
前回は、2017年9月に開催されました欧州臨床腫瘍学会年次総会(ESMO2017)から、注目演題の概説をしました。今回は、免疫チェックポイント阻害薬におけるバイオマーカー研究の現況について解説させていただきます。過去の連載でも取り上げさせていただきましたが、免疫チェックポイント阻害薬は、従来の抗がん剤治療とは異なり、一部の患者に限られるものの何年にもわたって治療効果が長期間持続する例が報告されています。
しかしながら、免疫チェックポイント阻害薬の単剤投与では承認されている固形がんの約2〜4割の患者さんに奏効を認めるに過ぎません。免疫チェックポイント阻害薬を投与するにあたり、治療効果が期待できる適切な患者の選択、すなわち個別化医療の推進は重要な課題です。そのため、現在世界中で治療選択の指標となるバイオマーカーの探索研究が盛んに行なわれています。
また、今回のTopicでは、2018年4月に開催されました米国癌学会総会(AACR2018)でその結果が発表され注目を集めた「進行期の非小細胞肺がんにおける免疫チェックポイント阻害薬と化学療法との併用療法の試験の結果」と今後の展望について述べさせていただきます。
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