特集 遺伝子治療の臨床展開
5.血友病に対する遺伝子治療
水上浩明
1
Hiroaki Mizukami
1
1自治医科大学 分子病態治療研究センター 遺伝子治療研究部 教授
pp.637-643
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201505053
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血友病は遺伝子治療に適した疾患と考えられ,これまで数多くの前臨床・臨床研究が行われてきている。最近になって,血友病Bの遺伝子治療臨床研究における成功例が報告された。末梢血中に8型のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを注入することで,凝固因子血中濃度の上昇と凝固因子製剤使用量の著減が認められ,長期的にも効果は持続している。この成功を契機として,血友病遺伝子治療の実用化に向けた機運が高まってきている。本稿ではこれまで行われた臨床研究に関して,経緯を含めて概説するとともに,今後に向けて解決するべき問題点について整理・解説する。