特集 免疫制御によるがん治療
3.慢性骨髄性白血病に対する分子標的薬による免疫制御
門脇則光
1
Norimitsu Kadowaki
1
1京都大学大学院 医学研究科 血液・腫瘍内科学 准教授
pp.1615-1619
発行日 2014年10月30日
Published Date 2014/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201411039
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慢性骨髄性白血病に対するABLキナーゼ阻害薬の免疫修飾作用が注目されている。とりわけ,広汎なキナーゼを阻害するダサチニブは,in vitroで免疫細胞の機能を抑制する一方,半数近くの症例で大顆粒リンパ球,すなわち細胞傷害性リンパ球の増加を引き起こす。そして,そのような症例では生存が延長するという臨床的有用性も報告されている。大顆粒リンパ球の増加機序としてサイトメガロウイルス再活性化の関与が示唆されているが,まだ不明な点が多い。今後がんに対する分子標的療法と免疫療法の併用が期待されるが,ダサチニブはこの両者の性質を兼ね備えた新たながん治療薬の1つのモデルといえる。