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急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)に対しては,アントラサイクリン系抗がん剤であるダウノルビシン(DNR)またはイダルビシン(IDR)とシタラビン(Ara-C)の組み合わせによる,いわゆる3&7療法が,長年,標準的寛解導入療法として用いられてきた。DNRとAra-Cは1970年代に,IDRは1980年代に開発された薬剤であり,その投与量などの変遷はあるにしても,半世紀近く基本的な治療薬は変わっていない。同種造血幹細胞移植療法の併用などもあって,AMLの治療成績は徐々に向上はしているが,成人AMLの5年生存率は50%前後に留まっているのが現状である。一方,慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia:CML)におけるイマチニブなどのABL阻害薬による驚異的な治療効果は,治療理念そのものの変革をもたらしている。急性白血病においては,その発症・進展に関する分子機構がCMLよりも複雑であることから,単純に1つの異常分子を標的とすることだけでは十分な治療効果を得ることは困難ではあるが,少なくとも適切な分子標的薬を併用することによって,治療効果の改善を得ることができることは急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)やBCR-ABL陽性急性リンパ性白血病における併用療法の結果が示している。したがって,AMLにおいても,さらなる治療成績の向上を得るための分子標的薬の開発が長年期待されてきた。本稿では,2017年頃より,本格的に臨床的実用化が始まったAMLに対する分子標的薬の現状と今後の展望を概説する。「KEY WORDS」急性骨髄性白血病,分子標的療法,FLT3阻害薬,IDH阻害薬
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