特集 薬物アレルギーをめぐって
Ⅺ.薬物アレルギーの発症機序
岡本(内田)好海
1
,
中村亮介
2
,
斎藤嘉朗
3
Yoshimi Okamoto-Uchida
1
,
Ryosuke Nakamura
2
,
Yoshiro Saito
3
1国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部
2国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部室長
3国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部部長
pp.684-689
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201805684
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薬物アレルギーの発症機序の解明は現在過渡期にある。これまでに複数の医薬品と副作用の組合せについて,発症に関連する遺伝子型が明らかになった。低分子薬物が異常な免疫応答を誘導する機序としては,薬物が体内のタンパク質に結合し抗原性を得るというハプテン-プロハプテン仮説の他に,近年,薬物が免疫系の受容体と直接相互作用するというpharmacological interaction with immune receptors(p-i)仮説,薬物がヒト白血球抗原に提示されるペプチドの種類を変えるというAltered peptide repertoire仮説が提唱されている。また,T細胞の抗原認識機構については,アロ反応性T細胞が薬物応答に関わるというHeterologous immunity仮説が提唱されている。これらの薬物アレルギー発症機序のフレームワークは,他のケースでも適用される可能性があり注目される。