特集 腰仙部根症状の発症機序—基礎と臨床—(第15回日本脊椎外科研究会より)
座長総括/「Ⅺ.間欠跛行」の部
金田 清志
1
,
辻 陽雄
2
Kiyoshi Kaneda
1
,
Haruo Tsuji
2
1北海道大学医学部整形外科学教室
2富山医科薬科大学整形外科学教室
pp.365-367
発行日 1987年4月25日
Published Date 1987/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907596
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
本セクションでは腰部脊柱管狭窄症の主要症状である間欠性跛行について発表が10題あった.解剖学的研究が山岸(防衛医大)と渡辺(平塚市民病院)の2題あり,前者は正常人の脊髄—馬尾神経の動静脈分布を観察し,その解剖学的特徴から,腰部脊柱管狭窄症の病態を検討し,馬尾は分節的に一定の太さの動脈分布がみられるのに対し,静脈系は硬膜外静脈叢の障害により馬尾あるいは神経根のうっ血が惹起され,神経の機能障害を招来する可能性の大きいことを述べ,静脈系のうっ血と間欠性跛行の関係を示唆した.山岸,渡辺の両者の発表は採用論文となっているので参照されたい.山岸の発表に駒形(東京医大)から硬膜外静脈造影で硬膜内の根静脈は逆行性には造影されないが,root sleeveに弁様の機構が存在するのかとの質問に,明らかな弁はないが硬膜が弁様作用をしていると述べた.渡辺に対して河合(城北病院)から障害部位とその中枢部での神経根内神経線維の数と大きさのヒストグラムを比較しているのかとの質問には,ヒストグラムは作ってない.生前に電気生理学的検索はしていないとのことであった.増田(鹿児島大)は犬で末梢神経刺激により神経根の血流量の変化を水素クリアランス法で測定した結果を報告した.まだその結果の意義づけがなお今後の検討を要するが,手技に関する質問が出沢(千葉大)からあった.採用論文であるので参照されたい.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.