特集 薬物アレルギーをめぐって
Ⅻ.脱感作による克服
山口正雄
1
Masao Yamaguchi
1
1帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学教授
pp.690-693
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201805690
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かつては薬剤アレルギーを起こした原因薬を再投与するのは慎むべきと考えられていたが,近年,薬剤への過敏体質が終生続くとは限らないことが多くの研究で明らかとなり,また脱感作による投与法の知見が集積されてきて,必要があれば慎重に再投与することが許容されるようになってきた。脱感作には臨床的に2通りの状況がありうる。1つは薬剤を投与され重篤な全身アレルギー症状が生じた後,4~5日間ほど無反応状態が生ずる。もう1つは,微量から薬剤投与を開始し,徐々に増量して,最終的にアレルギー症状を誘発することなく通常量の投与に持ち込むというものである(臨床現場ではこちらを指すことが多く,本稿でも脱感作をこの意味で用いる)。本稿では脱感作の考え方,誘導の際の流れや注意点について概説する。