特集 Precision Medicineのための難治性喘息の病態と治療
Ⅱ.難治に関与する因子 5.アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息,AERD,N-ERD)
谷口正実
1
,
三井千尋
2
,
林浩昭
2
,
富田康裕
2
,
上出庸介
3
,
福冨友馬
3
,
関谷潔史
3
Masami Taniguchi
1
,
Chihiro Mitsui
2
,
Hiroaki Hayashi
2
,
Yasuhiro Tomita
2
,
Yousuke Kamide
3
,
Yuma Fukutomi
3
,
Kiyoshi Sekiya
3
1国立病院機構相模原病院臨床研究センターセンター長
2国立病院機構相模原病院臨床研究センター
3国立病院機構相模原病院臨床研究センター室長
pp.910-916
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201707074
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アスピリン喘息は,シクロオキシゲナーゼ(COX)-1阻害作用を持つNSAIDsにより,強い気道症状を呈する不耐症であり,選択的COX-2阻害薬(セレコキシブ)は安全に使用可能である。近年では喘息の安定化とともに好酸球性中耳炎や皮疹,胃腸症,異型狭心症の合併が増加している。特徴的病態としてCysLT過剰産生があり,その機序としてマスト細胞活性化だけでなく血小板の関与も判明した。好酸球性鼻茸とAERDの病態には共通点が多く,重症の鼻茸を合併した成人喘息ではAERDの可能性が高い。NSAIDs誘発症状の急性期にはアドレナリンが著効し,難治AERDの管理にはOmalizumabが有効である。