特集 気道の炎症をめぐって
Ⅰ.気管支粘膜の病理・病態
権寧博
1
,
丸岡秀一郎
1
,
水村賢司
2
,
橋本修
3
Yasuhiro Gon
1
,
Shuichiro Maruoka
1
,
Kenji Mizumura
2
,
Shu Hashimoto
3
1日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野准教授
2日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
3日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野主任教授
pp.436-441
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201704014
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気管支喘息は,気道の慢性の炎症性病態と理解されており,環境因子の曝露により繰り返される上皮障害と炎症により生じる気道粘膜の組織学変化やそれに伴う機能異常が,喘息の病態を形づくると考えられる。喘息患者の気道上皮は,上皮剥離や上皮バリア機能障害により外来異物に対する粘膜透過性が亢進しており,また,上皮サイトカイン産生の亢進など上皮機能の変調がみられる。また,杯細胞の過形成や気管支腺の肥大による粘液過分泌,さらには,基底膜肥厚や気管支平滑筋肥大など気道リモデリングと言われる,喘息に特徴的な病理組織学的変化は,喘息の病態と密接な関連性がある。本稿では,気道上皮粘膜の組織病理学的変化から,喘息発症のメカニズム,重症化の病態メカニズムについて考察する。