特集 免疫療法の現状と将来
Ⅷ.低アレルゲン化小麦の樹立
河野邦江
1
,
遠藤隆
3
,
森田 栄伸
2
Kunie Kohno
1
,
Takashi Endo
3
,
Eishin Morita
2
1島根大学医学部皮膚科学講座
2島根大学医学部皮膚科学講座教授
3龍谷大学農学部教授
pp.1120-1127
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201608078
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小麦アレルギーの原因抗原を有しない小麦系統由来の食品が流通すれば,小麦アレルギーに罹患する患者が少なくなると期待される。我々は,パンコムギ(Triticum aestivum L.)の研究用品種であるChinese Springの欠失系統より,小麦を原因とする食物依存性運動誘発アナフィラキシーの主要抗原であるω-5 gliadin遺伝子を欠失し,且つ欠失が最も少ない1BS-18系統を選択した。ω-5 gliadinの欠失は,ω-5 gliadinエピトープ抗体を用いた免疫ブロット等で確認した。さらに,1BS-18系統の低感作性を確認するため,1BS-18系統由来のグルテンを感作液としてモルモットに対する感作能の評価を行った。その結果,1BS-18系統由来グルテンは市販グルテンより感作能が低いことが明らかとなった。