特集 皮膚アレルギーの研究 アップデート~経皮感作とアレルギー~
VII.加水分解小麦含有石鹸による全身性小麦アレルギー
千貫祐子
1
,
森田栄伸
2
Yuko Chinuki
1
,
Eishin Morita
2
1島根大学医学部皮膚科
2島根大学医学部皮膚科 教授
pp.884-891
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201306070
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
近年,石鹸中の加水分解小麦で経皮または経粘膜感作されて,小麦アレルギーを発症したと思われる患者が多発した。患者の多くが成人小麦アレルギーの主要アレルゲンであるω-5グリアジンに対する特異的IgEを有しておらず,従来の小麦アレルゲンとは異なるエピトープ配列を認識しているものと思われる。これらの患者は,石鹸中に含まれる加水分解小麦がアレルゲンとして皮膚から吸収されて感作され,後に経口摂取した小麦蛋白質と交差反応してアレルギー症状を発症したと考えられ,従来の小麦アレルギーとは異なる臨床症状および予後を呈している。