マイオピニオン
低アレルゲン小麦「しまね夢こむぎ」の実用化で小麦アレルギーを予防!
森田 栄伸
1
Eishin MORITA
1
1島根大学
pp.952-953
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206822
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1. 小児期の体験から
私は1957年に広島県北部山あいの無医地区に生まれました.病気の際には山道を2km歩いてJR三江線(2018年に廃止)に乗り,隣町の開業医さんを受診します.診察が終わるとまたJRに乗り山道を2km歩いて帰ります.この開業医さんは,受診できない患者のために月1回地区の保育所に開設される臨時診療所に,同様の道を辿って往診に来てくれていました.私もスズメバチに足を刺された小学生のとき,たまたま往診日で診察していただいたことがありました.こんな医療環境で,幼少児期から「医者いうもんは偉いもんじゃ」との両親の言葉を聞いて育ち,自然と医師を志すようになっていました.
両親の勧めもあり広島大学医学部に入学,将来の目標は地域医療を担う家庭医でした.ところが,3年次の生化学特別講義で米国Paul Berg博士(1980年ノーベル生化学賞受賞)の遺伝子改変技術の講義を聞き,地域医療への志は何処へやら,すっかり研究志向になってしまったのです.1982年医学部卒業後,熱心にアレルギーの研究を行っていた皮膚科学教室に入局,6月に赴任された山本昇壮教授のご指導で,皮膚科研修の傍ら「ヒスタミン分解酵素の皮膚局在」のテーマで研究をさせていただくことになりました.
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