特集 アレルギーと脂質メディエーター アップデート
Ⅷ.リポキシンとアレルギー
石塚 全
1
Tamotsu Ishizuka
1
1福井大学学術研究院医学系部門病態制御医学講座内科学(3)分野教授
pp.372-381
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201803372
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感染局所から病原微生物を除去するための生体防御反応として惹起された炎症は適切に収束される必要がある。アレルゲンによって引き起こされるアレルギー性炎症においても炎症収束の遅延,異常はアレルギー性疾患の病態を考えるうえで重要なポイントである。リポキシンはアラキドン酸から生成される抗炎症性脂質メディエーターであり,気道上皮細胞,白血球,血小板などの細胞間相互作用によって,複数のリポキシゲナーゼの働きにより生成される。リポキシンは自然免疫と獲得免疫に関与する様々な細胞に作用し,多くの炎症遺伝子の発現を転写因子レベルで調節する。重症喘息,特にアスピリン喘息患者におけるリポキシン産生の低下が確認されており,また,動物の喘息モデルにおけるリポキシン類似化合物の有効性が報告されている。