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連載 私達の研究(159)
Quorum sensing機構とc-di-GMPシグナル伝達機構を介した緑膿菌の病原性およびバイオフィルムへの影響
Pathogenesis and biofilm formation regulated by quorum sensing or c-di-GMP signaling in Pseudomonas aeruginosa
木村聡一郎
1
,
舘田一博
2
Kimura Soichiro
1
,
Tateda Kazuhiro
2
1東邦大学医学部微生物・感染症学講座講師
2東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授
キーワード:
Quorum sensing,c-di-GMP,緑膿菌,肺炎,レジオネラ
Keyword:
Quorum sensing,c-di-GMP,緑膿菌,肺炎,レジオネラ
pp.110-116
発行日 2016年5月25日
Published Date 2016/5/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201606110
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臨床上,問題となる細菌の多くは病原性を巧みに制御する手段をもち,これを利用して宿主に対する攻撃を仕掛け,あるいは宿主免疫から逃れる手段としている。このような病原性制御システムとして,Quorum sensing(QS)機構が知られている。本機構は細菌間情報伝達分子を介してお互いを認識し,タイミングを見計らって一斉に病原性を発揮するシステムとして知られている。多くの病原因子がQS機構により制御されていることから,本機構をターゲットとした創薬も期待されている。一方,別の病原性制御システムとして,細菌細胞内での環状ビス(3'-5')ジグアニル酸(3,5-cyclic diguanylic acid:c-di-GMP)分子の濃度を指標としたシグナル伝達システムが知られるようになり,特にバイオフィルム形成との関連性が注目されている。本稿では,病原細菌の中から緑膿菌を取り上げ,上記2つの制御機構を中心に,筆者らの研究成果も含めて概説する。