連載 エイズに見られる感染症と悪性腫瘍(17)
脳原発性悪性リンパ腫
柳川泰昭
1
Yanagawa Yasuaki
1
1国立国際医療研究センター治療研究開発センター フェロー
pp.4-12
発行日 2015年2月25日
Published Date 2015/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201503004
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脳原発性悪性リンパ腫(PCNSL)は,おもにB細胞を由来とする非ホジキンリンパ腫の節外病変として,まれな疾患である。HIV感染症をはじめとする免疫抑制が最大のリスクファクターであり,近年,高齢化の影響もあり増加傾向にある。特徴的な症状・神経所見は認めないが,50~ 80%の症例で初発症状として巣症状を認める。画像所見は,脳室や,くも膜下腔など髄液腔と接している部分に発生することが多く,多発性病変として診断される例もある。標準的な化学療法には抵抗性を示すため,高用量メソトレキセート療法を中心に,抗ウイルス療法や放射線全脳照射を組み合わせて治療を行うが,生存率・機能的予後は依然として不良である。