今月の主題 白血病・最近の進歩
技術解説
多剤耐性の遺伝子検査
宮地 勇人
1
,
小林 広幸
2
,
竹村 譲
2
Hayato MIYACHI
1
,
Hiroyuki KOBAYASHI
2
,
Yuzuru TAKEMURA
2
1東海大学医学部臨床病理学
2防衛医科大学校病院検査部
キーワード:
白血病
,
多剤耐性
,
遺伝子検査
Keyword:
白血病
,
多剤耐性
,
遺伝子検査
pp.283-289
発行日 1997年3月15日
Published Date 1997/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903265
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近年,抗腫瘍剤耐性の分子機構の解明とDNA操作技術の開発は,白血病における耐性遺伝子の検出を可能にした.多剤耐性の分子機構として,①化学構造が異なる多剤を細胞外に排出する細胞膜のP糖蛋白質(P-glycoprotein;P-gp)をコードするmdr 1遺伝子発現,②トポイソメラーゼ阻害剤やDNA架橋薬剤の標的酵素トポイソメラーゼⅡ(トポⅡ)活性低下では,遺伝子発現低下または変異,さらに,③ATP結合性多剤耐性関連蛋白質(multidrug resistance-associat-ed protein;MRP)遺伝子が新たに単離され,その発現と耐性との関係が解明されつつある.これら遺伝子発現の検出に,特定の遺伝子断片を特異的に増幅するポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法は,感度高く迅速かつ簡便な方法である.定量的解析には,増幅反応条件の設定と対照遺伝子の同時増幅が大切である.多剤耐性遺伝子の検査は,簡便,迅速に治療反応性の指標を提供するため,白血病のより適切な診断と治療成績向上に貢献しうる.
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