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Volume 30, Issue 5 （April 2014）

化学療法の領域 30巻5号（2014年4月発行）

Japanese English

特集市中感染型MRSAの動向と対処法

７．市中感染型MRSAにより生じた化膿性脊椎炎の１例 A case of pyogenic spondylitis by community-acquired MRSA 志水元洋 ¹ , 村田昌之 ² , 光本富士子 ³ , 迎はる ⁴ , 小川栄一 ¹ , 豊田一弘 ¹ , 岡田享子 ⁵ , 貝沼茂三郎 ⁵ , 江藤義隆 ³ , 古庄憲浩 ⁵ , 林純 ⁶ Shimizu Motohiro ¹ , Murat Masayuki ² , Mitsumoto Fujiko ³ , Mukae Haru ⁴ , Ogawa Eiichi ¹ , Toyoda Kazuhiro ¹ , Okada Kyoko ⁵ , Kainuma Mosaburo ⁵ , Eto Yoshitaka ³ , Furusyo Norihiro ⁵ , Hayashi Jun ⁶ ¹九州大学病院総合診療科助教 ²九州大学病院総合診療科診療准教授 ³九州大学病院総合診療科 ⁴九州大学病院総合診療科臨床助教 ⁵九州大学病院総合診療科准教授 ⁶九州大学病院総合診療科教授/原土井病院九州総合診療センター長キーワード：市中感染型MRSA , 敗血症 , 化膿性脊椎炎 , CA-MRSA , Sepsis , Pyogenic spondylitis Keyword: 市中感染型MRSA , 敗血症 , 化膿性脊椎炎 , CA-MRSA , Sepsis , Pyogenic spondylitis pp.85-91

発行日 2014年4月25日 Published Date 2014/4/25

DOI https://doi.org/10.20837/2201405085

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　症例は30歳の女性。X年８月，右耳介にせつが出現したが，自壊排膿し自然治癒した。その後，９月より発熱と右腰部痛が出現したため入院となった。入院日の血液培養でグラム陽性球菌が検出され，腰椎MRIの結果と併せ，化膿性脊椎炎にともなう敗血症と診断した。MSSA（methicillin-sensitive Staphylococcus aureus：メチシリン感性黄色ブドウ球菌）を想定しエンピリック治療としてCEZ（cefazolin）を開始したが，感受性試験ではβ-ラクタム薬以外の抗菌薬（CLDM，MINO，LVFX，ST〔clindamycin, minocycline, levofloxacin, sulfametonazole-trimetoprim〕）に感受性のあるMRSA（methicillin-resistant Staphylococcus aureus：メチシリン耐性黄色ブドウ球菌）であった。敗血症および重症の骨軟部組織感染症であったため組織移行性を考慮しLZD（linezolid）に変更したところ，すみやかな自・他覚所見の改善が得られた。検出されたMRSAのSCCmec（staphylococcal cassette chromosome mec）はtype IV，PVL（Panton Valentine leukocidin）遺伝子陰性で，薬剤感受性とあわせて市中感染型MRSAと考えられた。今後わが国でも市中感染型MRSAによる重症感染症が増えてくる可能性があるため，入院歴や抗菌薬治療歴のない健康成人においても血流感染症の原因菌として市中感染型MRSAを考慮しておく必要がある。