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特集 国際的に脅威となる感染症
9.市中感染型MRSA
Community-acquired MRSA
松本哲哉
1
Matsumoto Tetsuya
1
1東京医科大学微生物学分野 主任教授/東京医科大学茨城医療センター感染制御部 部長
キーワード:
CA-MRSA
,
PVL
,
SCCmec
,
皮膚・軟部組織感染症
Keyword:
CA-MRSA
,
PVL
,
SCCmec
,
皮膚・軟部組織感染症
pp.91-95
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201702091
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市中感染型MRSA(Community-acquired MRSA:CA-MRSA)(MRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は市中の一般の人から分離される頻度が高いMRSAであり,入院患者からおもに分離される院内感染型 MRSA(Hospital-acquired MRSA:HA-MRSA)とは異なる特徴を有する菌である。おもに皮膚・軟部組織感染症を起こし,抗菌薬には比較的感受性が良好であるが,肺炎の場合は重症化する可能性もある。CA-MRSAはおもに米国などで急激に分離頻度が増加して注目を集めたが,現在では日本国内でもまれではなくなっている。国内の分離株をさらに詳しく解析すると,CA-MRSAに分類される菌であってもタイプや毒素の産生性などは海外と異なる点も多い。近年,CA-MRSAによる感染症は市中だけに限定されず,院内での感染症の原因にもなりつつあるため,医療の現場でも注視していく必要がある。