Japanese
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特集 市中感染型MRSAの動向と対処法
6.市中感染型MRSAによる腸腰筋腫瘍
A case of giant iliopsoas abscess by community-acquired MRSA
前田正
1
Maeda Tadashi
1
1東邦大学医療センター大森病院総合診療・急病センター 助教
キーワード:
敗血症
,
腸腰筋膿瘍
,
内服治療
Keyword:
敗血症
,
腸腰筋膿瘍
,
内服治療
pp.80-84
発行日 2014年4月25日
Published Date 2014/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201405080
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発熱をともなう腰痛を主訴に来院した健常成人男性で,腹部CTで巨大な腸腰筋膿瘍を認め,血液培養検査でMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が検出された。バンコマイシンにリファンピシンを加え,12週間の治療を行い経過は良好であった。経過中にMRSAの薬剤感受性結果が判明し,バンコマイシンに加え,エリスロマイシン,クリンダマイシン,ミノサイクリン,レボフロキサシンなどの多剤に感受性であった。クリンダマイシンの内服治療に切り替え,外来で経過観察を行い,腹部CTでも腸腰筋膿瘍の消失を確認した。濃厚な医療関連歴がない成人から薬剤感受性良好なMRSAが検出されたことから,CA-MRSA(市中感染型MRSA)感染が疑われた。分子学的検査を行ったところ,CA-MRSAに特徴的なSCCmec(staphylococcal cassette chromosome mec)type IV を保有していたが,Panton-Valentine leukocidin(PVL)やarginine catabolic mobile element(ACME)といった毒素遺伝子の保有はなく,米国等で流行しているUSA300とは異なる株による感染と考えた。