Japanese
English
特集 市中感染型MRSAの動向と対処法
5.市中感染型MRSAによる肺膿瘍から胸壁膿瘍,腸腰筋膿瘍へ悪化した1症例
A case of community-acquired MRSA causing pulmonary abscess, complicated with abscesses in the thoracic wall and in the iliopsoas muscle
星進悦
1
,
毛利孝
1
,
那須元一
3
,
安藤 隆子
4
,
及川 真由美
4
Hoshi Shinetsu
1
,
Mouri Takashi
1
,
Nasu Genichi
3
,
Andou Takako
4
,
Oikawa Mayumi
4
1岩手県立中部病院呼吸器内科 科長
3岩手県立中部病院呼吸器外科 科長
4岩手県立中部病院臨床検査科細菌検査室
キーワード:
肺膿瘍
,
胸壁膿瘍
,
腸腰筋膿瘍
,
市中感染型MRSA
,
薬剤耐性と病原性
Keyword:
肺膿瘍
,
胸壁膿瘍
,
腸腰筋膿瘍
,
市中感染型MRSA
,
薬剤耐性と病原性
pp.69-78
発行日 2014年4月25日
Published Date 2014/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201405069
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アルコール性肝硬変症の45歳男性がMRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による左肺上葉膿瘍から左前上胸壁膿瘍を形成し,さらには左腸腰筋膿瘍を併発した。初診時より喀痰培養でMRSAのみが検出され,感受性パターンは抗MRSA薬のほか,GM,MINO,LVFX,ST,FOM(ゲンタマイシン,ミノサイクリン,レボフロキサシン,スルファメトキサゾール-トリメトプリム,ホスホマイシン)に感性を示していた。SBT/CPZ(スルバクタム/セフォペラゾン)で全身状態は改善したが,肺膿瘍が胸壁へリンパ行性に進展した。LVFXに変更し胸壁膿瘍は軽快するも血行性に腸腰筋膿瘍を形成した。LZD(リネゾリド)とTEIC(テイコプラニン)に変更し炎症反応は消失したが,腸腰筋膿瘍は血腫化し大腿神経痛が遺残した。感受性パターンや臨床的定義から市中感染型MRSA感染症と考えられ,骨破壊をともなう胸壁膿瘍や腸腰筋膿瘍を併発したため病原性の高い市中感染型MRSAによる肺感染症と考えた。