Japanese
English
特集 敗血症ショックの新たな理解と集学的治療法
I 基礎 2.敗血症と活性化インフラマソーム
Septic shock and activation of inflammasome
筒井ひろ子
1
Tsutsui Hiroko
1
1兵庫医科大学病原微生物学講座 主任教授
キーワード:
LPS感受性
,
急性肝障害
,
血液凝固亢進
,
インターロイキン18
,
Toll様受容体シグナル
Keyword:
LPS感受性
,
急性肝障害
,
血液凝固亢進
,
インターロイキン18
,
Toll様受容体シグナル
pp.32-39
発行日 2014年3月25日
Published Date 2014/3/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201404032
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急速な高齢化,ならびに先進医療の充実と拡大は易感染性宿主と薬剤耐性病原体の増大をきたし,その結果,感染症はいまだに「重要な疾患」の位置から脱出できていない。なかでも敗血症は致死性の高い重篤な感染病態で治療に難渋する症例が多い。宿主がもつ自然免疫システムは活性化に時間のかかる獲得免疫システムとは異なり,病原体に即答してすみやかな病原体排除に寄与する。逆説的ではあるが,病原体特有の毒性と曝露量だけでなく,病原体に対する宿主自然免疫応答を起点とする種々の生体応答も敗血症の重症度を決定する重要な要因である。特にグラム陰性細菌がもつ細胞壁成分であるエンドトキシン(LPS:リポ多糖体)は細菌の種類を問わず,等しく病的な生体応答を惹起することが古くから知られていた。LPSの宿主のシグナル受容体がToll様受容体4(TLR4)であることが証明されてから1),自然免疫システムの実像が急速に解明された2)。本稿ではマウスモデルを用いたエンドトキシン病態について,筆者のこれまでの研究成果を中心に総説する。