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バルク分解機構であるオートファジーは,古くなったオルガネラのターンオーバーを促進し,さらに傷害を受けたオルガネラを積極的に除去することによって,細胞の恒常性を維持している。オートファジー関連遺伝子Atg16L1の一塩基多型がクローン病の発症と相関するとの報告を受けて,オートファジーを介した細胞内成分の分解が炎症反応制御において果たしている役割が注目されている。マクロファージにおけるオートファジー不全は,インフラマソームと呼ばれるcaspase-1を活性化する複合体を介した炎症性サイトカインIL-1βとIL-18の過剰産生を惹起することが,筆者らの研究から明らかになっている。また,オートファジー不全のマクロファージでは,オートファジーによって行われているミトコンドリアの品質管理が破綻しているために,NALP3インフラマソームの過剰な活性化が引き起こされることが最近の研究成果から明らかになってきた。一方で,IPAFインフラマソームの活性化がオートファジー不全を引き起こすことも,鈴木らの研究から明らかになってきている。本稿では,これらのインフラマソームを介した炎症反応とオートファジーの関連性について概説する。
オートファジーは細胞内成分のバルク分解機構であり,細胞内のアミノ酸プールの維持やオルガネラのターンオーバーの制御を介して,細胞の恒常性維持に重要な役割を果たしている(図1)1-2)。また,オートファジーは不溶性蛋白質や傷害を受けたミトコンドリアの排除にもかかわっており,細胞内品質管理機構としても重要である。さらに,オートファジーは細胞内に侵入した細菌の排除を行うことにより,感染防御にもかかわっている。現在までに数多くのオートファジーに必須の因子が酵母における遺伝学的な解析から同定され,オートファジー関連因子Atgと名付けられている。オートファジー関連因子は酵母から哺乳類に至るまで広く保存されている。
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