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特集 敗血症ショックの新たな理解と集学的治療法
I 基礎 3.敗血症性ショックに関与するToll-like receptorの機能
The function of Toll-like receptor which participates in a septic shock
高村(赤司)祥子
1
Akashi-Takamura Sachiko
1
1東京大学医科学研究所・感染遺伝学教室 助教
キーワード:
TLR4
,
MD-2
,
CD14
,
PRAT4A
Keyword:
TLR4
,
MD-2
,
CD14
,
PRAT4A
pp.40-47
発行日 2014年3月25日
Published Date 2014/3/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201404040
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1996年にTollというハエの背腹軸を規定する分子が真菌感染においても重要だという報告をHoffmannらが発表した。また1997年には,Janeway, MedzhitovらがハエのTollのヒトホモログを報告し,Toll-like receptor(TLR)と命名した。TLRはヒトではTLR1-10の10種類が同定されているが,ノックアウトマウスを用いた機能解析などによりTLRがそれぞれ別の病原体構成成分を認識することが明らかとなり,自然免疫・獲得免疫という新たな概念も生まれてきた。グラム陰性菌の菌体成分であるLPS(リポ多糖体:エンドトキシン)をはじめとする病原体構成成分がTLRを介して体内のあらゆる細胞・組織で認識され,強い活性化を生じた結果,敗血症性ショックを生じることが判明し,その認識機構や調節メカニズムに基づく治療戦略も検討されてきている。本稿ではLPSで誘導される敗血症に焦点を当てて,おもにTLR4やその会合分子による認識機構を解説する。また,認識機構に基づく今後の治療戦略の展望に関しても触れてみたい。