医薬ジャーナル論壇
高齢者の「事前ケア・計画」に見る医療と介護の融合性―― 患者尊重選択モデルの臨床成果と可能性 ――
沼田稔
1
1医薬ジャーナル社代表取締役社長(本誌論説主幹)
pp.31-33
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201901031
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80歳以上の高齢入院患者の治療とケアに当たって,事前に患者自身の死生観,価値観,そして自ら望むゴールのあり方などを調べ,その記録を指標としてのケアを進めることで,患者の終末期生活に対する望みがよく理解・尊重され,患者と家族の双方に好印象を与えることが確認されたとする研究結果が,2010年のBMJ誌で報告されている1)。オーストラリアの研究者たちによるもので,「リスペクティング・ペイシェント・チョイシス」(患者尊重の選択:Respecting Patient Choices:RPC)と呼ばれる同国のケアモデルを使用した前向き(prospective)無作為対照比較試験「アドバンス・ケア・プランニング」(事前ケア計画)の成果である。