連載 感染症診断と病理(19)
血液塗抹標本にみつかる病原体(2)
堤寬
pp.5-14
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201901005
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扶桑薬品工業から提供される「ハイブリゼップ(Hybrisep)」キットは,生体内に侵入した敗血症の原因菌をin situ hybridization法を利用して検出する。末梢血中の白血球に貪食された細菌のDNAが染めだされる。Staphylococcus aureus,S. epidermidis,Pseudomonas aeruginosa,Enterococcus faecalis,Escherichia coli/Klebsiella pneumoniae/Enterobacter cloacae群を認識する5種の標識DNAプローブが用いられる。抗菌薬の影響や皮膚常在菌のコンタミネーションの影響を受けることなく,迅速に(操作時間約8時間)原因菌が検出できる(松久明生ほか:In situ hybridization法による敗血症診断の臨床的有用性.BIO Clinica 14〔1〕:97-101, 1999)。本稿では,末梢血標本に観察される細菌類と糸状虫類を紹介する。巻頭図として,好中球に貪食される黄色ブドウ球菌と緑膿菌のゲノム陽性像を示す。