特集 遺伝子治療における技術革新の現状と課題
6.神経変性疾患の遺伝子治療
村松慎一
1
1自治医科大学内科学講座神経内科学部門・特命教授 / 東京大学医科学研究所遺伝子・細胞治療センター・特任教授
pp.87-90
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201801087
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アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは,神経細胞に効率良く遺伝子を導入し,長期発現する。Parkinson病と芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症では,AADC 遺伝子を被殻の神経細胞で発現させることで運動機能が回復する。血液脳関門・髄液脳関門を通過し,広範な中枢神経領域に遺伝子を送達可能な AAVベクターが開発され,Alzheimer病,筋萎縮性側索硬化症,脊髄小脳失調症に対しても遺伝子治療の臨床応用が現実的になってきた。AAVベクターによる遺伝子治療は1回の投与で効果が生涯持続するので,新たなビジネスモデルの構築が必要となる。高力価のベクターを低費用で製造する技術開発が進んでいる。