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特集 遺伝性網膜疾患のトータルケア
【基礎と診断】
遺伝性網膜変性疾患の遺伝子検査
Genetic testing in retinal dystrophy
堀田 喜裕
1
,
倉田 健太郎
1
,
細野 克博
1
Yoshihiro Hotta
1
1浜松医科大学眼科学教室
pp.1590-1595
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211614
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はじめに
遺伝子の塩基配列を読むのをシークエンシングと呼び,読み取る機器をシークエンサーと呼ぶ。シークエンシングの技術も,シークエンサーの性能も急速な進歩を逐げている。筆者は,これまで30年間にわたって遺伝性網膜変性疾患の原因遺伝子と臨床像の解析を行い,現在は次世代シークエンサーを用いて研究を進めている(図1)1〜5)。表1に示すように,次世代シークエンサーを用いると,現時点では,約4割の患者の原因遺伝子を同定できるといわれている6〜10)。遺伝性網膜変性疾患の患者は,遺伝について心配していることが多く,原因遺伝子の同定は遺伝相談に有用と考えられる。一方で,①シークエンシングのコストや正確さの問題,②(遺伝的異質性のために)遺伝子診断がより厳密な予後推測に決定的でないこと,③遺伝子別の治療法が確立されていないことなどの問題がある。しかし,この勢いで進歩すれば患者の遺伝情報を用いた医療も可能になるかもしれない。本稿では,遺伝性網膜変性疾患の遺伝子検査に関して,最近研究者の間で導入されつつある次世代シークエンサーについて,その利点,欠点を中心に,今後の可能性についても述べる。
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