連載 医薬品情報(DI)室より 注目の新薬情報〈6〉
オフェブⓇ カプセル100mg,同150mg
大野能之
1
1東京大学医学部附属病院薬剤部
pp.1746-1748
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201607156
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◆ 製剤の特徴 「オフェブ®カプセル100mg,同150mg」(ニンテダニブエタンスルホン酸塩)は,血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)α,βおよび線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1,2,3および血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする,低分子チロシンキナーゼ阻害剤である。本剤はこれらの受容体のアデノシン5'-三リン酸(ATP)結合ポケットに競合的に結合し,特発性肺線維症(IPF)の病態形成に不可欠な機序である線維芽細胞の増殖,遊走および形質転換に重要な細胞内シグナル伝達を阻害する。本邦では,2010年よりIPFを対象とした国内第II相試験を実施するとともに,2011年9月には希少疾病用医薬品の指定を受けた。さらに,第III相国際共同試験であるINPULSIS試験に参加し,日本人患者に対する本剤の有効性と安全性が検討された。これらの試験を含む国内外の臨床試験結果を元に,2015年7月に「特発性肺線維症」を効能・効果として,承認を取得した。用法・用量は,通常,成人にはニンテダニブとして1回150mgを1日2回,朝・夕食後に経口投与であり,患者の状態によりニンテダニブとして1回100mgの1日2回投与へ減量する。