連載 医薬品情報(DI)室より 注目の新薬情報〈18〉
ジャクスタピッドⓇカプセル5mg,同10mg,同20mg
細谷絵美
1
,
中川直人
1
,
眞野成康
2
1東北大学病院薬剤部
2東北大学病院薬剤部 教授/薬剤部長
pp.1739-1741
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201707165
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◆製剤の特徴 「ジャクスタピッド®カプセル5mg,同10mg,同20mg(ロミタピドメシル酸塩)」は,ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)に適応を有する希少疾病用医薬品である。ロミタピドは,小胞体内腔に存在するミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP)に直接結合することにより,肝細胞および小腸上皮細胞内においてトリグリセリドとアポリポタンパク質Bを含むリポタンパク質の会合を阻害する。その結果,肝細胞における超低比重リポタンパク質(VLDL)の形成,および小腸細胞におけるカイロミクロンの形成を阻害する。VLDLの形成が阻害されるとVLDLの肝臓からの分泌が低下し,血漿中のLDLコレステロール(LDL-C)濃度が低下する。 HoFHは難病指定されており,平成26年(2014年)度には166名のHoFH患者が登録されている。従来の薬物療法あるいは近年発売された抗前駆タンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9(PCSK9)モノクローナル抗体製剤を用いても,十分な効果が認められない症例も存在することから,本疾患の治療にはLDLアフェレーシスが推奨されている。しかしながら,LDLアフェレーシスは拘束時間が長く,患者負担が大きいことも指摘されており,本剤の登場によりHoFH患者の心血管イベントの抑制につながることが期待される。