医薬ジャーナル論壇
医学教育「2023年問題」からの示唆―国際標準化の波と薬学教育への影響―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.1613-1615
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201607023
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わが国の医学教育は,今,「2023年問題」という“黒船”への対応に追われている。2010年,米国の「ECFMG(外国医学部卒業生のための教育委員会)」が,米国の医師免許試験について,「2023年以降は,国際的な基準で評価を受けた医学部の卒業生にのみ受験を許可する」と通告したからである。これまで,日本の医学部の卒業証書は,そのまま米国での医師国家試験の受験資格として通用してきた。しかし今後は,世界標準の教育レベルを公的に認証された医学部の卒業者でなければ,米国での医療に従事できないことになる。既に,全国医学部長病院長会議には「医学教育の質保証検討委員会」が設置され,医学部の客観的評価制度の設計に着手している。一方,薬学部では近年,「専門職連携教育(IPE)」の普及を背景に,医学部との協働カリキュラムが着実に増えつつある。医学教育の改革を巡る動向は,薬学教育にとっても決して他人事ではない。