連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(51)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 抑うつ,吸着,角膜内皮障害,溶解性,出血,しゃっくり
Keyword:
● 抑うつ,吸着,角膜内皮障害,溶解性,出血,しゃっくり
pp.1740-1745
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201607150
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.心房細動のためダビガトランを服用していた患者において,抑うつ症状が現れ,中止により改善したが,再投与により再発した症例が報告されている。 2.ポリスチレンスルホン酸カルシウム,セベラマーを併用し,クエチアピンの血清中濃度が治療域以下であった患者において,投与時間をずらすことで血清中濃度が上昇した症例が報告されている。 3.アルツハイマー型認知症のためメマンチンを服用していた患者において,角膜内皮移植後に移植片が付着せず,メマンチンを中止により移植片が再付着した症例が報告されている。 4.カナダの癌センターの診療録などを用いた後向き研究において,スニチニブによる腎細胞癌の治療期間中に継続して制酸薬を併用していた群では,非併用群よりも無増悪生存期間が短かったことが報告されている。 5.海外の有害事象自発報告データベースを用いた調査において,ダビガトランによる有害事象報告の3~5割で,有害事象のリスクを上昇させる可能性のある薬物が併用されていたことが報告されている。 6.アルツハイマー型認知症のためドネペジルを服用していた患者において,腹痛や虚弱を続発するしゃっくりが発現し,中止により改善したが,再開により再発した症例が報告されている。