第 II 部 注目の新薬
〔V2-受容体拮抗薬〕「サムスカ®錠7.5mg,同15mg,同30mg」
東原英二
1
1杏林大学医学部多発性嚢胞腎研究講座・特任教授
pp.320-332
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513320
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バゾプレシンV2-受容体拮抗薬であるトルバプタンは,ナトリウム利尿をあまり伴わない水利尿作用があり,低ナトリウム血症,体液貯留の治療薬として開発され,本邦では,2010年に心不全による体液貯留,2013年に肝硬変による体液貯留の承認を受けている。2003年にモザバプタン(トルバプタンの前段階の薬)が多発性嚢胞腎モデル動物に有効であると発表され,数年の準備を経て2007年から多発性嚢胞腎患者1,445人を対象として,トルバプタンの有効性と安全性を検討する国際共同治験が行われた。腎臓容積増大速度を約50%,腎機能低下速度を約30%緩和する結果が2012年秋に発表され,本邦では2014年3月に多発性嚢胞腎治療薬として承認され,臨床使用が始まっている。