連載 薬剤師による処方設計〈35〉
薬剤師介入によるテイコプラニンの個別化初期投与設計の有用性
中野貴文
1
,
佐藤啓介
2
,
二神幸次郎
3
1福岡大学病院薬剤部[福岡大学薬学部臨床疾患薬理学]
2福岡大学病院薬剤部
3福岡大学病院薬剤部 薬剤部長
pp.1591-1595
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201506153
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テイコプラニン(teicoplanin:TEIC)は半減期が長く,タンパク結合率も高いため,速やかに血中濃度を目標治療域まで到達させることが困難な薬剤である。そのため,TEIC投与開始時には薬剤師による初期投与設計に基づき,負荷投与量を設定する必要性があると考えられる。 本研究では,薬剤師が初期投与設計を行った介入群34例と,行っていない非介入群27例を対象に,負荷投与後のトラフ濃度,目標血中トラフ濃度(15μg/mL以上)到達率を後方視的に検討した。負荷投与後の平均トラフ濃度は,介入群で23.3±5.3μg/mL,非介入群で14.0±5.9μg/mLと,薬剤師介入群で有意に高値を示した。また,目標血中トラフ濃度到達率は,介入群で91.2%,非介入群で25.9%であった。薬剤師による初期投与設計に基づいた負荷投与を行うことで,速やかに血中トラフ濃度を目標治療域まで到達させることができると考えられた。