連載 OBSTETRIC NEWS
陣痛抑制剤経口投与の有用性
武久 徹
1
1武久産婦人科医院
pp.1406-1409
発行日 2004年11月10日
Published Date 2004/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100679
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日常医療でわれわれ医療従事者に求められる重要なことはevidence based medicine(EBM)と費用効果である.その2点から日本の切迫早産の管理を検討すると疑問が残る.
1971年にオランドから「塩酸リトドリンによって早発陣痛の80%を抑制できた」という報告がされた(BMJ p144, July 17, 1971).早発陣痛の診断基準は「血性腟分泌物,触知可能な子宮収縮,または頸管開大のなかの1つ以上がある場合」とした.しかし,偽薬投与群でも48%は早発陣痛が停止したため,この研究者達は早発陣痛と誤って診断された偽陣痛例が含まれていたのではないかという疑問を自ら投げかけている.その後,多数の研究で塩酸リトドリンの有効性が検討され,1992年にカナダで行われた塩酸リトドリンに関する研究(NEJM 327 : 308, 1992)を最後に,塩酸リトドリンの有効性は短期間のみという結論が出たため,その後に塩酸リトドリンの有効性を確認する研究は報告されていない.
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