連載 副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈39〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 教授
キーワード:
● カルボキシルエステラーゼ,抗コリン薬,低血糖,UGT1A1,肝障害
Keyword:
● カルボキシルエステラーゼ,抗コリン薬,低血糖,UGT1A1,肝障害
pp.1598-1604
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201506160
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.健康成人を対象とした試験において,ラベプラゾール併用によりメトホルミンの血漿中濃度がわずかに上昇したことが報告されている。 2.In vitro試験およびコホート研究において,クロピドグレル服用患者ではアンジオテンシン変換酵素阻害薬の併用により出血リスクが上昇する可能性が報告されている。 3.コホート研究において,抗コリン薬はせん妄または認知症による入院リスクと関連し,服用薬剤数が増えるほどリスクが高くなることが報告されている。 4.コホート研究において,グリベンクラミド服用による低血糖のリスクは,クラリスロマイシン,レボフロキサシン,スルファメトキサゾール・トリメトプリム,メトロニダゾール,シプロフロキサシンの併用で上昇することが報告されている。 5.グルクロン酸転移酵素(UGT)1A1がpoor metabolizerであるニロチニブ服用患者では,重篤な毒性の発現リスクが高い可能性が報告されている。 6.チトクロムP450(CYP)2E1,N-アセチル転移酵素2(NAT2),有機アニオントランスポーター(SLCO1B1/OATP1B1)の遺伝子多型が,抗結核薬による肝障害リスクと関連している可能性が報告されている。