特集 睡眠・眠りの基礎と臨床
5.不眠症治療の現状と課題
三島和夫
1
1国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所・精神生理研究部・部長
pp.1573-1577
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201406087
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不眠症治療のメインストリームは,睡眠薬を中心にした薬物療法である。しかし睡眠薬によって夜間の不眠症状が軽減しても,患者の満足感やアドヒアランスが高まらないことがしばしばある。それは不眠症の本態である日中の生活の質,心身機能(Quality of Life:QOL)が回復していないためである。QOL障害こそが不眠症治療の真のターゲットであり,それを達成するためには患者および治療者の視点を,夜から昼に転換する必要がある。特に睡眠薬のメインユーザーである中高年の不眠症患者では,睡眠の加齢変化により若い頃のような長く持続的な睡眠を得ることは元々難しい。過剰な午睡や運動量低下を正すなど,ライフスタイルの改善にも留意しつつ,効果的かつ安全な薬物療法を心がけるべきである。