特集 睡眠・眠りの基礎と臨床
6.過眠症の診断と病態:特にナルコレプシーについて
吉田祥
1
,
本多真
2
,
神林崇
3
1吉田診療所・院長/杏和会 阪南病院/大阪薬科大学薬物治療学研究室
2東京都医学総合研究所 精神行動医学研究分野 睡眠研究プロジェクト・リーダー
3秋田大学大学院医学系研究科医学専攻 病態制御医学系精神科学講座・準教授
pp.1579-1584
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201406093
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本稿では日中の眠気をきたす疾患(いわゆる過眠症)のうち,ナルコレプシーの病態,症状などについて述べた。また,このほど睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)が発表されたため,前版のICSD-2からの変更点についても概説した。ICSD-3では,ハイポクレチン欠乏(hypocretin deficiency)をナルコレプシー分類の基準の一つと定めた。つまり,〈1〉脳脊髄液中のハイポクレチン欠乏,〈2〉情動脱力発作があり反復睡眠潜時検査(MSLT)基準を満たす,のうち一つ以上を満たす場合をtype1, MSLT基準を満たすが情動脱力発作がない場合をtype2とした。Hypocretin deficiencyを基準にした場合,ナルコレプシーという症候群から均質な病因を持つ疾患を抽出できる可能性が高まる。一方,type2を含めたその他の過眠疾患の分類については,今後も議論を要する。