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はじめに
2003年7月31日に,日本呼吸管理学会(現・呼吸ケア・リハビリテーション学会),日本呼吸器学会,日本理学療法士協会とが合同で「呼吸リハビリテーションマニュアル―運動療法―」1)を出版し,呼吸リハビリテーションの普及に大きく貢献した.その後,2006年度の診療報酬改定では,理学療法,作業療法,および言語聴覚療法が4大疾患別のリハビリテーションに再編され,呼吸器リハビリテーションが新設された2).
このように呼吸器リハビリテーションが,診療報酬上もリハビリテーションの独立したカテゴリーとして認められたことは,呼吸リハビリテーションを行ってきた,あるいはこれから呼吸リハビリテーションを取り入れようとしている医療関係者にとっては喜ばしいことと思われる.しかし,心大血管疾患リハビリテーション,脳血管疾患等リハビリテーションに較べて,呼吸器リハビリテーションは診療報酬点数が低く評価されており,また,今回の診療報酬改定でリハビリテーションに対して新たに設定された算定可能期間が,他のリハビリテーションに較べて短く,患者にとっても医療機関にとっても満足できる診療報酬の内容とはなっていない(表1).
とくに,算定日数の上限が設けられたために,呼吸器疾患に限らず慢性疾患患者のリハビリテーションの継続や再指導ができなくなった,という大きな社会的問題があり,リハビリテーション診療報酬改定を考える会(代表・多田富雄)は算定日数上限撤廃の要望を行い,リハビリテーション打ち切り制度被害実例登録を開始した.また,中医協の2006年度診療報酬改定結果の検証項目のなかにもリハビリテーションに係る評価が含まれ,診療報酬改定の影響調査を行う予定である3).
一方で,厚生労働省(厚労省)は,今後,医療保険は「機能回復」に限定し,「機能維持」は介護保険で行う慢性疾患のリハビリテーション体系を目指している4)という.
呼吸器リハビリテーションを含めてリハビリテーションの保険診療の枠組みは,いまだ過渡期で流動的であるが,本稿では現時点での呼吸リハビリテーションの現状と課題について,主に診療報酬を軸に解説する.
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