特集 睡眠科学の新潮流
2.不眠症の薬物療法
三島和夫
1
1国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所・精神生理研究部・部長
pp.623-629
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201702063
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不眠症治療のコンプライアンスやアドヒアランスを高めるためには「睡眠薬をどう使うか」という治療の入口だけではなく,「睡眠薬をどう止めるか」,「必要ならばどう安全に長期使用するか」という二つの出口を見据えた不眠症の治療戦略(クリニカルパス)を患者に示す必要がある。選択薬剤の基準は長期使用時の安全性を最優先にし,薬物療法と睡眠習慣指導をバランス良く併用する。不眠の原因が取り除かれて,不眠症状とQOL(quality of life)障害の両面が改善する寛解状態が8週間程度持続したら,減薬・休薬を試みる。不眠症患者の一部では,長期服用のベネフィットがリスクを上回り,許容される臨床例が存在する。その場合,可能な限り副作用リスクの低い薬剤を選択し,安全性に関する十分な説明とフォローアップを行うことが必要である。