Japanese
English
特集 就労世代の脳卒中リハビリテーション
現状と課題
Stroke rehabilitation for working age: current status and issues
杉本 香苗
1
,
伊藤 英明
1
,
松嶋 康之
1
,
佐伯 覚
1
Kanae Sugimoto
1
,
Hideaki Itoh
1
,
Yasuyuki Matsushima
1
,
Satoru Saeki
1
1産業医科大学リハビリテーション医学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
就労世代
,
脳卒中
,
社会復帰
Keyword:
就労世代
,
脳卒中
,
社会復帰
pp.117-122
発行日 2021年2月10日
Published Date 2021/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202147
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はじめに
就労世代の脳卒中患者の最大の目標は社会復帰であり,特に就学や就労への復帰(復職)が重要である.脳卒中後の復職は患者の生活の質(quality of life;QOL)と直結する問題でもある.しかし,わが国の脳卒中リハビリテーションは高齢社会に対応するため,急性期,回復期,生活期に機能分化され専門性を高めることで高齢脳卒中患者をターゲットとしたシステムを構築してきた.就労世代の脳卒中患者は,就労,子育てなど特有の心理社会的課題を有しており,それぞれの課題に合わせた一貫した支援が必要であるが,現行の脳卒中治療システムでは,就労の問題はうまく組み込まれていない.
このような背景があるなか,少子高齢化が進むわが国では働き手の確保が必須であり,疾病を抱えた労働者の仕事と治療の両立を図って行くことが,これまで以上に必要となっている.脳卒中は,メンタルヘルス不調,がんに続き長期休職を必要とする原因の3位(12%)を占め1),企業における生産性を保つためにも脳卒中患者の復職支援は重要であるとの認識が高まってきた.2018年に「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立し,国を挙げて仕事と脳卒中の両立支援を進めている.
本稿では,高齢脳卒中と異なる就労世代脳卒中のリハビリテーションにおける現状と課題について述べる(表).
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