巻頭言
慢性腎不全において骨は生贄か,罪人か?
川口 良人
1
1東京慈恵会医科大学客員教授
pp.5-6
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000171
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
2017 年度ASN Kidney Week(New Orleans)において,“Bone, victim orculprit?”という興味あるセッションがあった.この課題について再考してみたい.PTH 依存性の骨病変を生贄として捉えるならば,その元凶はPTH であり,calcitriol,その他の活性型ビタミンD アナログ,リン吸着薬,カルシミメティックス,PTX など,また骨吸収を抑制するdenosomub など多様な治療介入により,わが国の透析患者において重篤な,制御できない二次性副甲状腺機能亢進症による線維性骨炎(osteitis fibrosa)を目にすることはほとんどない.この観点からは“生贄を出さない”という治療戦略は成果を上げていると考えることができよう.
Copyright © 2019, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.