特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方
骨格系
慢性腎不全と骨関節病変―慢性腎不全マネジメントに欠かせないポイント
工藤 祥
1
1佐賀大学医学部放射線医学教室
pp.308-315
発行日 2004年11月30日
Published Date 2004/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101220
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典型的な症例
図1 35歳女性,透析歴8年,頭部顔面側面像
骨濃度は全体的に低下し,頭蓋冠部はびまん性に小顆粒状影のいわゆるsalt and pepper appearanceを呈している.上顎骨,下顎骨では個々の歯根周囲に本来みられるべき歯槽硬線(lamina dura)が消失している.いずれも二次性副甲状腺機能亢進症による骨吸収の所見である.
図2 53歳女性,透析歴12年,右手正面像
骨皮質および骨梁の吸収があり,骨は淡く,皮質・髄質の境界が不明瞭となっている.特に第2基節骨撓骨側の骨膜下骨吸収(矢頭)が顕著であり,軟骨下骨吸収(矢印)もみられる.第一末節骨も吸収され,小さくなっているようである.さらに,指間動脈に多数の石灰化がみられる.いずれも二次性副甲状腺機能亢進症に特徴的な所見である.
慢性腎不全に関連する骨・関節・軟部の病変は多様であるが,最も典型的とされるのは腎性骨異栄養症(renal osteodystrophy)と総称される病態であり,これには二次性副甲状腺機能亢進症(図1~4),骨粗鬆症,骨硬化(図5),骨軟化症(図6,7),くる病(図8),軟部・血管の石灰化(図2)などが含まれる.また,長期の透析に関連してはアミロイド沈着症(図9~11),破壊性脊椎関節症(図11),アルミニウム骨症,結晶沈着症,腱断裂などがあり,骨・軟部感染症や骨壊死の合併もある.
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