特集 Calcimimetics の新しい展開
2.Calcimimetics のプロトタイプ(tecalcet)の発見と開発
永野 伸郎
1,2
1医療法人社団日高会日高病院腎臓病治療センター
2東京女子医科大学東医療センター
キーワード:
カルシウム感知受容体
,
カルシミメティクス
,
ウシ副甲状腺細胞
,
カルシウムチャネルブロッカー
,
テカルセト(NPS R-568/KRN568)
Keyword:
カルシウム感知受容体
,
カルシミメティクス
,
ウシ副甲状腺細胞
,
カルシウムチャネルブロッカー
,
テカルセト(NPS R-568/KRN568)
pp.257-266
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000153
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副甲状腺細胞表面上にカルシウム(Ca)受容体(CaR/CaSR)の存在が提唱されてから30 年以上が経過する.G 蛋白質共役型受容体であるCaR を発現する細胞は,細胞外Ca 濃度のわずかな変化を鋭敏に感知し応答する.本受容体は,細胞外Caの恒常性維持機構に必須の蛋白であり,ゆえに高Ca/低Ca 血症に関連する疾患治療薬の重要な標的分子となる.CaR を活性化させ,副甲状腺ホルモン(PTH)分泌を抑制する薬剤は,原発性および二次性の副甲状腺機能亢進症(HPT)治療に有用である.医薬品としてのcalcimimetics の原型は,既存のCa チャネルブロッカーを副甲状腺細胞を用いて評価することで,CaR クローニング以前にNemeth 博士により見出された.Fendiline やprenylamine は,CaR のpositive allosteric modulator であることが判明し,その後の構造活性相関研究により,最初に臨床試験に供されたcalcimimetics であるtecalcet(NPS R-568)が創製された.Tecalcet は原発性および二次性HPT 患者において,安全性と有効性が証明されたが,生物学的利用率が低いために開発が中止された.薬物動態プロファイルが改善された誘導体であるシナカルセトは,世界各国で承認された最初のcalcimimetics であり,その後日本では,エテルカルセチドおよびエボカルセトが上市されている.
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