特集 Calcimimetics の新しい展開
7.診療ガイドラインにおけるcalcimimetics の位置付け
横山 啓太郎
1
1東京慈恵会医科大学腎臓高血圧内科
キーワード:
calcimimetics
,
ガイドライン
,
シナカルセト塩酸塩
,
EVOLVE 試験
,
MBD-5D 研究
Keyword:
calcimimetics
,
ガイドライン
,
シナカルセト塩酸塩
,
EVOLVE 試験
,
MBD-5D 研究
pp.295-305
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000158
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
calcimimetics であるシナカルセト塩酸塩は副甲状腺の主細胞に働きPTH 分泌を抑制するのみならず,活性型ビタミンD と異なり,血中P ・Ca に対する低下作用も認められている.そのため,血管石灰化に抑制的に作用することが期待されている.改訂KDIGO ガイドラインに引用されている臨床研究のなかでEVOLVE 試験はintent-to-treat 解析では有意な効果を見出すことはできなかった.EVOLVE 試験の後解析においてシナカルセト塩酸塩のアテローム型内膜石灰化関連病変(心筋梗塞,非出血性脳梗塞,不安定狭心症による入院,末梢動脈硬化性病変,心臓カテーテルによる死亡,大動脈瘤破裂,解離性大動脈瘤)には効果を認めなかったが,メンケベルグ型中膜石灰化関連病変(心不全,脳出血,突然死,肺梗塞,その他)に対する効果が見出された.その背景のもと改訂KDIGO ガイドラインでは以下のように変更されている.「活性型ビタミンD はPTH 抑制以外の目的で使用するべきではない.一方,EVOLVE 研究の後解析においてはcalcimimetics に潜在的利益を否定できなかった.しかしながら現時点でPTH 抑制には,活性型ビタミンD とcalcimimetics 使用の優先順位はない」.その背景のもとわが国ではエテルカルセチド塩酸塩とエボカルセトという二つの新規calcimimetics が使用可能となった.
Copyright © 2018, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.