『早期大腸癌』からの20年、『INTESTINE』からの今後20年
[炎症分野]クローン病診療の将来像
鈴木 康夫
1
1東邦大学医療センター佐倉病院 内科
キーワード:
Crohn病
,
治療成績
,
Infliximab
,
Adalimumab
,
Vedolizumab
Keyword:
Infliximab
,
Adalimumab
,
Crohn Disease
,
Treatment Outcome
,
Vedolizumab
pp.86-90
発行日 2016年1月20日
Published Date 2016/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2016150296
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過去20年間のクローン病(CD)診療における最大の収穫は,抗TNF-α抗体製剤の画期的治療成果の実証である.すでに抗TNF-α抗体製剤はCD治療の中心薬剤として汎用され,抗TNF-α抗体投与によって従来達成困難とされた粘膜治癒が標準的治療目標となった.抗TNF-α抗体を凌駕する新規薬剤が早々に登場することは期待できず,今後は抗TNF-α抗体製剤の血中濃度をモニタリングし的確な投与量に調節しながら治療効果の最大化を目指すことになる.さらに,抗TNF-α抗体製剤一次無効や二次無効症例に対しては,抗インテグリン抗体製剤やTNF-α以外の炎症惹起性サイトカインを標的とした新規薬剤が登場し,個々のCD患者の病態に即した治療薬剤の選択すなわちtailor-made治療が可能になる.診断法においては,腸管全層性変化とともに病勢の推移や予後を的確に判断し患者負担の軽減化された画像診断法に,遺伝子診断や腸内細菌叢解析を含む各種biomarkerを組み合わせた,CD phenotypeの区別可能な新規診断法が確立されることが期待される.
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